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ブクドリ | BOOK DRIP

先延ばしをやめたい人へ

いま止まっている場面を選び、今日できる一手を見つけましょう。

先に答え

仕事に手をつけられないとき、やることは「やる気を出す」ではなく「どこで止まっているかを見分ける」です。

止まる場所は大きく5つに分かれます。 そして場所ごとに効く手が違うので、順番に全部試す必要はありません。 下の表で自分に近いものを1つ選び、その場面の手順だけ読んでください。

なお、原因はいつも自分の側にあるとは限りません。 抱えている量が処理できる範囲を超えている、決める権限が自分にない、締切を決めた人が中身を決めていない。 こうした場合は、着手の技術をいくら足しても動きません。 その見分け方も各場面の「うまくいかないとき」に書いてあります。

どこで止まっているかを見分ける

場面思い当たること止まっている場所今日の一手
1タスク名は言えるが、最初の30秒に何をするかは言えないやることが決まっていない紙に1分書き出して、一行に丸をつける
2ファイルを開いて閉じる、を何度か繰り返している一歩の単位が大きすぎる始める時刻を分単位で決めて、やることを1つに削る
3締切までの日数を「余裕」として数えている負荷が後半に寄っている最初の2割の期間に、粗くても最後まで通す
4資料集めや体裁は進むのに、判断が要る部分だけ残っている難所を避けている「これが決まらないと他が決まらない」を1つ決める
5着手の直前にスマホを持ち、10分後に何を見ていたか思い出せない環境が着手を奪っているスマホを別の部屋に出してから座る

複数に心当たりがあるときは、番号の小さいほうから手をつけてください。 やることが決まっていなければ(場面1)、時刻を決めても(場面2)始めようがないからです。

場面1 やることが決まっていない

タスク名は頭にあるのに、最初の30秒で何をするかが出てこない状態です。 同じ心配が頭の中で何周もしていて、考えているつもりで実は止まっています。

手順

  1. 紙を1枚とペンを用意して、画面は閉じる
  2. 1分で、そのタスクについて頭にあることを全部書く。きれいに書かない
  3. 書いたものの中から「今日ここまでやれば前に進む」と言える一行に丸をつける

具体例

頭の中に「来期の予算案を作る」しかなかったところから、書き出すとこうなります。 「去年の実績ファイルの置き場所を確認する」「上長に、確定させたい数字を1つ聞く」「表のフォーマットを去年からコピーする」。 丸をつけるのは、いちばん短く終わるものでかまいません。 ここでは「去年の実績ファイルの置き場所を確認する」です。

うまくいかないとき

1分で何も書けないなら、それは考えているのではなく悩んでいる状態です。 そのときは、書けない理由のほうを書いてください。 「誰に確認していいか分からない」と書けたなら、それがそのまま今日の最初のタスクになります。

場面2 最初の一行が書けない

やることは決まっているのに、ファイルを開いて閉じるのを繰り返している状態です。 頭の中には完成形のイメージだけがあり、そこまでの距離に押し返されています。

手順

  1. そのタスクの「終わり」ではなく「始まり」の時刻を、何時何分まで決める
  2. その時刻にやることを、笑ってしまうくらい小さくする
  3. 時刻が来たらそれだけをやる。続けたくなったら続ける

具体例

「企画書を書く」を「見出しを3つ書く」に変えます。 それでも重ければ「見出しを1つ書く」まで下げます。 そのうえで「明日9時30分にファイルを開いて、見出しを1つ書く」まで決めておきます。

始まりの時刻を決める発想と、着手の単位を極端に小さくする発想は、どちらも『「後回し」にしない技術』が「開始デッドライン」「1%のアクション」として扱っています。 上の企画書の例は、それを編集部が日々の仕事に当てはめたものです。

うまくいかないとき

小さくしても手が動かないなら、原因は2つのどちらかです。 単位がまだ大きいなら「ファイルを開く」まで下げてください。 そのタスクを何のためにやるのかが自分の中で決まっていないなら、場面1に戻ります。

場面3 まだ日があると安心してしまう

締切までの日数を余裕として数えていて、前回も同じ計算をして最後に徹夜した状態です。

手順

  1. 期間全体の最初の2割を取り出す。10日の仕事なら最初の2日
  2. その2日で全体の8割を終わらせにいく。この段階では品質を問わない
  3. 2日終わった時点の進み具合を見て、残りの見積もりを引き直す

具体例

金曜提出の資料なら、月曜と火曜で粗くても最後まで通します。 体裁は崩れていてかまいません。 水曜以降を、仕上げと差し戻し対応のために空けておきます。

「最初の2割で8割」は『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』の中心的な主張で、最初の2割を見積もり期間としても使う点まで含めて本の側の考え方です。 金曜提出の資料という当てはめは編集部によるものです。

うまくいかないとき

最初の2日に会議や別件が詰まっていて確保できないなら、この型はそのままでは使えません。 その場合は2割を「日数」ではなく「作業量」で取り、まとまった90分だけ先に押さえてください。 それも取れないなら、止まっているのは着手ではなく持ち量です。 何を落とすかを決める相談を、今日のタスクにしてください。

場面4 進んでいる感じのする作業だけ進む

手はつけているのに、資料集めや体裁の調整ばかり終わっていて、いちばん判断が要る部分が残っている状態です。 準備は進捗に見えるので、避けていることに自分で気づきにくくなります。

手順

  1. そのタスクの中で「これが決まらないと他が決まらない」部分を1つ書き出す
  2. 今日の最初の時間をそこに充てる。調べ物はいったん止める
  3. その部分について、間違っていてもいいので仮の答えを1つ置く

具体例

提案書なら「予算をいくらで出すか」がそれにあたります。 決まらないまま構成やデザインを進めても、予算が変われば全部やり直しになります。 仮に「300万円」と置いてから、その前提で構成を書きます。

準備から始める順番そのものが遅さの正体だという見方は『高速仕事術』の主張です。 提案書の予算という例は編集部によるものです。

うまくいかないとき

仮の答えすら置けないときは、足りないのが判断材料ではなく判断の権限である場合があります。 自分が決めてよい範囲を超えているなら、今日のタスクは「誰に何を確認するかを決めて送る」に変わります。 これは先延ばしではなく、正しい手順です。

場面5 席に着いてもスマホを触ってしまう

着手の直前にスマホを持ち、10分後に何を見ていたか思い出せない状態です。

手順

  1. 作業する場所からスマホを物理的に出す。電源を切るのではなく、別の部屋か鞄の中に置く
  2. 通知を切るだけで終わらせない。届いても取りに行けない距離を作る
  3. 手を伸ばした自分に気づいたら、責めずに置き場所だけ変える

具体例

90分の作業をするなら、始める前にスマホを別室の充電器に置きます。 時間を計りたいなら、タイマーはスマホ以外のもので用意します。

意志ではなく環境の側を変えるという考え方は『FULL POWER』が扱っています。

うまくいかないとき

在宅でない、席を離れられないなど、別室に置けない環境もあります。 その場合は端末の側で「開くまでの手数」を増やしてください。 いちばん使ってしまうアプリを1つだけ選んで、ホーム画面から消します。 全部を一度に消そうとすると、数日で元に戻ります。

今日ひとつだけ選ぶ

ここまでの5つを全部やろうとすると、それ自体が新しい先延ばしになります。 選ぶ基準は1つで、今日のうちに結果が分かるものにしてください。

いま止まっているタスクを1つ選び、明日それを始める時刻を分単位で決める。 その時刻にやることを「ファイルを開いて見出しを1つ書く」まで小さくしておく。 迷ったらこれで十分です。

場面別に選ぶ本

上で挙げた6冊を、止まっている場面と対応させて並べ直します。 順番に読む前提ではありません。 自分が止まっている場面の1冊だけを手に取ってください。

止まっている場面本どんな人に、何が役立つか
最初の一行が書けない『「後回し」にしない技術』終了期限しか決めていない人に、開始の時刻を決める発想と、着手の単位を1%まで下げる方法を渡す
まだ日があると安心してしまう『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』締切前の徹夜を毎回繰り返している人に、負荷を後半から前半へ移す時間の組み方を渡す
調べ物や準備から始めてしまう『高速仕事術』資料は集まるのに判断が残る人に、準備から始める順番自体を疑う視点を渡す
席に着いてもスマホを触る『FULL POWER』何度決意しても戻ってしまう人に、意志ではなく環境を変える戦略を渡す
やることが決まっていない『自分を変えるノート術』同じ心配が頭の中で何周もする人に、頭の中身を紙に出して一歩を決める手順を渡す
全部に心当たりがある『不完全主義』リストが終わらないことに毎週落ち込む人に、「全部やる」という前提のほうを降ろす考え方を渡す

このページで扱っていないこと

手をつけた後の話は、別のページに分けています。

悩み見るページ
始めたのに集中が続かない、注意が逸れる集中できない・つい後回しにしてしまう人が読むべき本
本を読んでも行動が変わらない、インプットばかり増える本を読んでも行動が変わらない人へ
考えれば考えるほど動けなくなる考えれば考えるほど、動けなくなる
データが揃うまで決められない完璧なデータを待つと負ける理由

場面に合う本を選ぶ

  1. 最初の一行が書けないとき

    『「後回し」にしない技術』イ・ミンギュ|実行力は才能じゃない、練習で身につく「技術」だった

    終了期限しか決めていないタスクに、開始の時刻を分単位で置き直す方法を扱う一冊。着手のハードルを1%まで下げる考え方と合わせて、「やろうと思っているのに始められない」時間を短くしたい人向け。

  2. 締切まで日があると安心してしまうとき

    【中島聡】『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』──締切前の徹夜をゼロにする「ロケットスタート時間術」

    期間の最初の2割で全体の8割を終わらせにいく時間術。締切前の徹夜を毎回繰り返している人が、後半ではなく前半に負荷を寄せる形へ組み替えるために読む。

  3. 調べ物や準備から始めてしまうとき

    『高速仕事術』上岡正明|準備が完璧な人ほど、いつまでも始められない

    準備に時間をかけるのは丁寧なのではなく着手が遅いだけだ、という立場から仕事の順番を組み替える一冊。資料集めは進むのに判断が要る部分だけ残る人向け。90分まとまった時間を取りにくい職種には当てはめにくい点は、著者自身が留保を置いている。

  4. 席には着いたのにスマホを触ってしまうとき

    『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』ベンジャミン・ハーディ|意志力ではなく環境が、あなたを作る

    意志力は有限な資源だとして、決意ではなく環境の側を変える戦略をまとめた一冊。何度決意しても数週間で戻ってしまう人が、選択肢そのものを手元から消す方向に切り替えるために読む。

  5. 何をやるかが決まっていないとき

    『自分を変えるノート術』安田修|ノートは汚く書いて、二度と読み返さない

    「悩む」と「考える」を切り分け、頭の中身を紙に出して外部化するノート術。同じ心配が頭の中で何周もして手が動かない人が、最初の一歩を決めるために読む。

  6. 「全部やらないと」が根っこにあるとき

    『不完全主義』オリバー・バークマン|「全部やる」を諦めた日から、人生は動き出す

    やるべきことは無限に増えるが時間は有限だという前提を置き直す一冊。5つの場面のどれか一つではなく全部に心当たりがある人、リストが終わらないことに毎週落ち込んでいる人向け。