広告より、他人の投稿のほうが売れる理由
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自社の商品について、いちばん強い説得力を持つのは自社の発信ではありません。
買った人の投稿です。
飯髙悠太さんは『僕らはSNSでモノを買う』で、企業が一方的に発信する広告やメッセージは、届けたい相手にほぼ届かず消えていくと書いています。その割合を99%と見積もっています。
Googleが認識しているウェブページは130兆ページ。世界の年間検索回数は2兆回。この量の中で、自社の1発信が届く確率を想像してみると、悲観的な数字とも言い切れません。
拡散しているのは、有名人ではなかった
では、届いている情報は誰が運んでいるのか。
本書に、面白い調査があります。ある記者が、1.9万回リツイートされた実際の投稿を選び、それを拡散したアカウントから100個をランダムに抽出して調べました。
結果は予想と違いました。フォロワー数が30〜399人のアカウントが49個。ツイート数が1万回以上と非常にアクティブなアカウントが74個。このどちらかに当てはまるアカウントが、100個中94個を占めていたのです。
つまり拡散を担っていたのは、影響力の大きなインフルエンサーではなく、小さくて強いつながりを持つ一般ユーザーでした。本書はこれをスモール・ストロング・タイと呼びます。
フォロワーが50人から100人しかいなくても、その人の投稿は「知っている人からの話」として届きます。広告にはない性質です。
UGCは、待つものではなく作れるもの
口コミが大事だという話は昔からあります。問題は、それが偶然に見えることです。
洋菓子メーカーのシャトレーゼの事例は、そこに手が届いています。
同社はフォロワーの数を追うのをやめ、自社にとって熱量の高いフォロワーとの対話を優先しました。具体的にやったのは、ユーザーの口コミ投稿から毎日3〜5件を選んで、公式アカウントがリツイートで反応を返すことです。
結果、テキストのみの口コミが1.6倍、画像つきの口コミが11倍、リツイートを含む口コミ全体は8倍になりました。いまでは1つの投稿に対して2,000〜3,000件の口コミが自然発生し、ブランドの指名検索数も大きく伸びています。
やったことは、褒めてくれた人に気づいたと伝えただけです。それが次の投稿の理由になっています。
投稿する理由を、こちらから渡す
もうひとつ、投稿を生む仕掛けがあります。
ゆうこすさんは『共感SNS』で、紹介したコスメや服を買った人に「#ゆうこす現象」というハッシュタグを付けて投稿してほしいと呼びかけました。投稿は増え、コスメを紹介した翌朝に店に列ができることも起きるようになります。
買った人は、投稿したくないわけではありません。投稿する形式が決まっていないだけです。
彼女のライブコマースの数字も分かりやすい。生配信をしなかった1回目は1時間で170個。2週間後に生配信をしながら販売したら25分で500個。現在は5分で3300個が完売するようになっています。
同じ商品、同じ売り手です。変わったのは、買う瞬間にその場のやり取りがあるかどうかでした。
明日からできること
誤解:SNSはまずフォロワーを増やしてから → フォロワー数と売上は連動しません。インフルエンサーマーケティング会社のFISMの担当者は、フォロワーの多さよりも属性が偏っているほうが親和性を高めやすいと語っています。
シャトレーゼが追ったのは指名検索数でした。フォロワー数の代わりに何を見るか、を先に決めてください。
正しいアプローチ:口コミに、毎日3件だけ反応を返す → 全部に返す必要はありません。1日3件で、シャトレーゼは口コミを8倍にしています。
反応を返された人は、次も投稿します。その投稿を見た人が、また買います。これが回り始めるまでは地味な作業です。
そしてもうひとつ、投稿の形式を用意する。ハッシュタグでも、決まった言い回しでも構いません。「よかったら投稿してください」より、「この名前を付けて投稿してください」のほうが実際に投稿されます。
公式アカウントで始めるのが難しければ、個人アカウントからでも始められます。ホットリンクは社員個人の発信から始めて、メルマガの開封率35〜40%を実現しました。業界平均は2〜4%です。
おわりに
広告が効かなくなったという言い方は、たぶん正確ではありません。
自分について自分で語ることの限界に、みんなが気づいただけです。
だから仕事は、自分で語ることから、語りたくなる人を増やすことへ移ります。地味ですが、こちらのほうが積み上がります。
この記事で参考にした本
『僕らはSNSでモノを買う』飯髙悠太 → UGC(ユーザーの口コミ投稿)と指名検索を軸にしたSNSマーケティングの設計。拡散の担い手が誰かを、実データで示している。
『共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る』ゆうこす → 投稿する理由を渡す、生配信で買う瞬間を作るといった実践。発信する個人の側から見た同じ構造。
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