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『勝間式 金持ちになる読書法』勝間和代|お金とは「情報」である

学習・インプット
『勝間式 金持ちになる読書法』

お金持ちになる方法は、読書で学習できる。

そう言われると、ちょっと胡散くさく感じますよね。私も身構えました。でも本書の論理を追うと、これが精神論ではなく一本の筋の通った主張だとわかります。

出発点はこの定義です。お金の流れとは、情報の一種である。だとすれば、情報を読み解ける人ほどお金に不自由しなくなる。そして、良質な情報を最も安く大量に得られる手段こそが読書だ――勝間和代さんは、こう組み立てます。

読書を「現代の錬金術」と呼び、「合法的なカンニング」と言い切る。お金に直結させた読書論として、本書はかなり振り切っています。その論理と具体策を、まるごと拾っていきます。

図解

こんな人におすすめ

この本の核心――情報強者になることが、お金持ちへの最短ルート

本書を貫く前提は、お金の再定義です。

お金の流れというのは、情報の一種であり、お金にまつわる情報を読み解ける人は、お金に不自由することがなくなる。

お金は単なる交換手段ではなく「情報」だ。だから、社会の仕組みやお金の流れを理解できる情報強者になれば、搾取されずに済み、適切な判断で資産を築ける。逆に情報弱者は、うまい話のカモにされる。

そのカモを狙うのがカモ釣りスキーム商売です。「お金さえ出せば楽に稼げる」と謳い、安易に稼ぎたい人から搾取する合法的なビジネス。ワンルームマンション投資、シェアハウス投資、資格商法などが典型例として挙げられます。情報強者になるとは、こうした嘘を見抜けるようになることでもあります。

この本の論理の流れ――Why → What → How → Action

本書は極めてロジカルに組み立てられています。

まず「お金=情報」という前提を置き、お金持ちになるには情報強者になる必要があると定義する(Why)。次に、情報を得る最強のツールが読書、特に翻訳書だと示す(What)。続いて、忙しい現代人がどう多読を実現するかという耳読・速読のハックを提示する(How)。最後に「行動しなければ無駄」という結論へ導く(Action)。

この4段階に沿って、中身を見ていきます。

Why――なぜ読書がお金につながるのか

読書とお金の関係は、データでも裏づけられています。アメリカの調査では、富裕層の88%が1日30分以上ビジネス書などを読む。一方、年収300万円以下で1日30分以上読む人はわずか2%。富裕層の86%が読書家で、63%は移動時間にオーディオブックを聴いています。

日本でも、30代で年収3000万円を実現した人の月間読書量は約10冊。同年代の普通の社会人の38倍です。読書量と年収の相関は、各国で繰り返し報告されている。

ただし、ただ読めばいいわけではありません。

お金持ちになるという明確な目的のために本を選び、読書をして学ぶ、ということなしには、ただ本を読んでもお金持ちにはなれません。

同じカロリーでも、美食のための食事と筋肉をつける食事では体の組成が変わる。読書も、目的があるかないかで得る栄養(情報)が変わる。目的意識を持って読むことが、まず大前提になります。

What――読書は「合法的なカンニング」、なかでも翻訳書

なぜ読書なのか。勝間さんの比喩が秀逸です。

私は読書というのは合法的なカンニングだと思っています。

自分ひとりの経験や思考には限界がある。でも本を読めば、他者が一生をかけて得た知識や解決策を、わずか千円ほどで盗み見られる。チンパンジーは自分や母親からしか学べないが、人間は他者の経験を情報として認識し、自分の知識に組み入れられる。この「学習」こそ人間の特権だ、というわけです。

そして勝間さんが特に勧めるのが翻訳書、なかでも専門家が一般向けに書いた「ポピュラーサイエンス」です。

迷ったときには基本的に翻訳書を読むとよい

理由は2つ。ひとつは、日本語の本だけだと情報がガラパゴス化すること。世界全体のテクノロジー蓄積に対し、日本のものは人口比でたかだか50分の1。翻訳書を読めば、世界の最先端と多様な視点を効率よく取り込めます。もうひとつは質。翻訳書は海外で厳しい競争を勝ち抜き、さらに翻訳の審査を経て出版されるので、ハズレが少ない。

著者自身、人生を変えた本や資産形成に役立った本の8〜9割が翻訳書だったと言います。

ネット記事や要約サイトではダメなのか、という問いにも明確です。ネットの無料記事は編集も校正もない玉石混淆。要約サイトは「試食」に過ぎない。本当に人生を変える数行は、本全体を読まないと見つからず、無意識に蓄積されるほどの深さにもならない。

How――1日4万字を、耳読と速読で無理なく

「読む時間がない」という壁を、本書はテクノロジーで突破します。

中心になるのが耳読(みみどく)です。AudibleやKindleの読み上げ機能を使い、本を「聴く」読書法。Fire端末などの読み上げ機能をネックスピーカーで倍速再生し、家事や移動の最中に聴く。目や手が塞がっているスキマ時間を、まるごと読書時間に変えられます。

時間を生む大前提が、ニュースを断つことです。

普段あなたがTVニュースやネットニュースの配信を観ている時間を、全て読書にあててほしい

TVニュースは視聴率のためにネガティブで扇情的な情報に偏る。見るほど事実の理解を妨げ、精神衛生にも悪い。この時間を読書に置き換えるだけで、1日1〜2時間は捻出できる、と。

目標量は明快です。

よく言われる1日1万歩以上歩くという運動習慣の基本がありますが、それと全く同じ仕組みで、「1日4万字読書」をオススメします。

1日4万字は、新書なら2日で1冊、単行本なら3日で1冊のペース。これを「頭の運動」として習慣にする。情報強者を目指すなら、年間300〜500冊(できれば1000冊)が目安です。

読む速さを上げるのが速読です。コツはひとつ。

1行ずつ文章を読むような、部分的な読みを積み重ねて全体に至るのではなく、反対にまず全体をつかんで部分を理解するというような読み方を徹底すること

頭の中で1行ずつ音読するのをやめ、文章を「塊」として捉える。全体から部分へ読み解くフォトリーディングの発想です。本は最初から全部読む必要はなく、「つまみ読み」「飛ばし読み」でいい。本とは宝探しの地図であり、必要な数行を掘り起こす作業だ、と勝間さんは言います。

読書が苦手な人へのアドバイスも温かい。読書は筋トレと同じで、最初から重いバーベル(難しい本)は持てない。まずは新書や面白い小説、漫画から始めて「読む楽しさ(フロー体験)」を味わう。やがて思考のための語彙力がつき、専門書も読めるようになります。語彙とは、知識の塊にアクセスするショートカットキーだからです。

Action――行動しない読書は、無駄

本書の結論は、ここに尽きます。

行動をしない読書は、無駄だ。

本で得た知識は、あくまで「仮説」に過ぎない。魔法の書を読んで呪文を覚えても、唱えなければ意味がないのと同じです。生活の中で実行し、検証して初めて価値が生まれる。

勝間さんの実践エピソードが具体的です。4コマ漫画に出てきた「足のマウス(フットペダル)」をその場で検索して購入し、改行や音声入力を足で操作するようにしたら、文字入力の生産性が跳ね上がり収入増につながった。自転車通勤の本を読んで都内を自転車移動に変え、運動不足を解消した。19歳のときには「アルファ波でリラックスすると実力以上が出る」と本で知り、機械を買って試験に臨み、公認会計士二次試験に合格しています。読んで、すぐ試す。これを延々と繰り返してきた人なんです。

ここで効くのが受動意識仮説です。脳科学者の前野隆司さんが提唱した考えで、人間の意思決定の多くは無意識下で行われ、意識は後付けで認識しているに過ぎない、というもの。

だから、

読書は遅効性である

すぐに結果が出なくても焦らない。読書で良質な情報を無意識に送り込み続けると、ある臨界点を超えたとき、自然と行動が良い方向へ最適化される。投資の複利のように、知識が無形資産として蓄積されていくわけです。

明日から何を変えるか

本書の実践を、3つに絞ります。

1. TV・ネットニュースの時間を、耳読に置き換える スマホにKindleアプリを入れ、ネックスピーカーかイヤホンを用意する。通勤や家事の最中に読み上げ機能を倍速で流す。よくある失敗は「まとまった読書時間を作ろう」とすること。耳読はスキマに差し込むのがコツです。

2. 「面白い翻訳書」から、1日4万字を目指す 最初から難しい本を選ばない。純粋に面白いと思えるポピュラーサイエンスの翻訳書から始め、塊で捉える速読で1日4万字に近づける。読書予算は月収の5〜10%が目安。図書館やKindle Unlimitedから始めてもいい。

3. 1冊につき、1つだけ「即行動」する 読み終えたら、使えそうなアイデアを1つ選び、その日か翌日に必ず試す。効果があれば続け、合わなければ次の本へ。読書と実践を、つねにワンセットにします。

おわりに

読み終えて腑に落ちたのは、本書が「読めば稼げる」とは一度も言っていないことでした。むしろ繰り返されるのは「行動なき読書は無駄」という釘刺しです。読書はあくまで仮説の供給源で、稼ぐのは実行のほう。

ひとつ正直に補足します。年間300〜500冊という量は、読書習慣のない人には高すぎるハードルです。翻訳書を勧める論理も明快ですが、では具体的にどの分野のどの本がお金に直結するかは、結局のところ読者自身のリテラシーに委ねられます。万能の処方箋ではありません。

それでも、お金を情報として捉え直す視点と、耳読でスキマ時間を読書に変える発想は、今日からでも試せます。「親ガチャ」という言葉が示すように生まれの格差は固定化しつつある。だからこそ、安価にアクセスできる読書で後天的に自分をアップデートできる、という本書のメッセージは、シンプルに希望だと私は思いました。


合わせて読みたい

『レバレッジ・リーディング』本田直之 1,500円の本を15万円に変える「投資としての読書」がテーマ。お金に直結させて読書を捉える本書と発想が重なり、リターンを意識した多読の技術を補強してくれます。

『知識を操る超読書術』メンタリストDaiGo 読書を「インプット」から「武器」に変える科学的メソッド。本書の「行動なき読書は無駄」という主張を、知識を使いこなす技術の面から深掘りできます。

『読書を仕事につなげる技術』山口周 年間50冊読んでも何も変わらなかった人へ向けた一冊。多読そのものより「成果への接続」を問う視点が、本書の実践重視の読書観とよく響き合います。


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