本文へスキップ
ブクドリ | BOOK DRIP
戻る

『読書を仕事につなげる技術』山口周|年間50冊読んでも何も変わらなかった人へ

学習・インプット

本を読む。メモも取る。「いい本だったな」と思う。

1ヶ月後、何も覚えていない。

仕事に活かせた記憶もない。

山口周さんの『読書を仕事につなげる技術』を読んで、その理由がわかりました。

読書量の問題じゃなかった。「読んだ後」の問題だった。


シェフの話をさせてください

著者は、読書をシェフの仕事に例えています。

シェフは食材を仕入れる。でも、仕入れた食材をそのまま出したりしない。

冷蔵庫に保管して、お客さんの要望に応じて、組み合わせて、調理して、料理を出す。

読書も同じ。

本から得た知識(食材)を、そのまま使おうとしても意味がない。

いったんストックして、仕事の文脈に合わせて、組み合わせて、初めて成果(料理)になる

私がやっていたのは、「食材をそのまま出そうとすること」だった。

そりゃ、まずいわ。


「新刊の9割は読む必要がない」

衝撃的な主張がありました。

「新刊ビジネス書やベストセラーの9割は読む必要がない」

え?でも、みんな読んでるでしょ?

著者の言い分はこう。

多くの新刊は、古典的名著の焼き直しに過ぎない。

しかも、結論だけをまとめているから、思考のプロセスが学べない。

原典を読めば、「なぜそう言えるのか」という思考の道筋がわかる。

焼き直しを読んでも、「へー、そうなんだ」で終わる。

みんなが読む本を読んでも、みんなが知っている知識しか得られない

それでは、差別化できない。


「ビジネス書マンダラ」という地図

じゃあ、何を読めばいいのか。

著者は「ビジネス書マンダラ」というフレームワークを提示しています。

経営戦略、マーケティング、組織論、ファイナンス…。

各分野の古典的名著を71冊に厳選して、体系的に配置した図です。

中心から外側に向かって、入門→専門→応用と深くなっていく。

20代はまず中心部の入門書から。30代は2階層目へ。

これがあれば、「何から読めばいいかわからない」という悩みが消える。

正直、このリストだけで本の価値があると思いました。


2種類の読書を使い分けろ

ここからが本題です。

著者は、読書を2種類に分けています。

1. ビジネス書:基礎体力を作る 2. 教養書:個性を作る

ビジネス書は「狭く、深く」。

厳選した古典を、何度も繰り返し読む。「1冊を5回読む」方が、「5冊を1回読む」より効果的

一方、教養書は「広く、浅く」。

哲学、歴史、心理学、生物学…。実用性は問わない。興味の赴くままに読む。

なぜか。

ビジネス書だけだと、みんな同じ思考になる。

教養書から得た「関係ない知識」が、予期せぬ組み合わせを生み、独自の視点を育てる

著者自身、美術史専攻から経営コンサルタントになった人です。

その「異色のキャリア」が、他のコンサルタントにはない強みになった。


「情報イケス」という革命的な考え方

この本で一番使えると思ったのは、「情報イケス」の概念です。

教養書から得た知識は、いつ役に立つかわからない。

覚えておこうとしても、忘れる。人間だから。

だから、記憶に頼らない。

検索可能な外部データベースに「生きたまま」ストックしておく

Evernoteでも、Notionでもいい。

著者は「3回読みメソッド」を提案しています。

1回目:線を引く 2回目:重要な箇所を5つ選ぶ 3回目:「イケス」に転記する

これで、必要な時に検索して取り出せる。

「忘れること」を前提にした知識管理。

これ、めちゃくちゃ実用的です。


「損切り」する勇気

もう一つ、刺さった話。

読書も「損切り」が必要。

「ここまで読んだんだから、最後まで読まなきゃ」

これ、サンクコストの罠です。

株でいえば、「ここまで投資したんだから、損切りできない」と同じ。

面白くない本、自分に合わない本は、途中でやめていい

時間という資本を、リターンの低い銘柄に投下し続ける必要はない。

正直、「読みかけの本」への罪悪感がずっとありました。

この考え方で、救われた気がします。


こんな人に読んでほしい

この本が教えてくれるのは、「たくさん読め」ではない。

「読んだ後のプロセスを設計しろ」

読書量を競っても意味がない。

食材をいくら仕入れても、料理を出さなければシェフとは言えない。

読書も同じ。

知識を仕入れて、ストックして、組み合わせて、成果を出す。

そのプロセスを設計できた人だけが、読書を「仕事につなげる」ことができる。


合わせて読みたい

『知識を操る超読書術』メンタリストDaiGo 「情報イケス」の考え方をさらに深めたい人に。読む前・読んでいる最中・読んだ後の3段階で知識を定着させる具体的なテクニックが学べます。

『読書の技法』佐藤優 「新刊の9割は読む必要がない」という主張に共感した人に。元外交官が実践する、本当に読むべき本の選び方と、速読・熟読の使い分けが学べます。

『TAKE NOTES!』 「外部データベースにストックする」を実践したい人に。ツェッテルカステンという知識管理システムで、読書メモを「使える知識」に変える方法が学べます。


この記事をシェア:

前の記事
『とにかく仕組み化』安藤広大|「人を責めるな、仕組みを責めよう」で組織が変わる
次の記事
『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』ピョートル・フェリクス・グジバチ|「今日は暑いですね」で終わる人、信頼を勝ち取る人