ブラウザのタブ、今いくつ開いてますか。
23個。
これ、昨日の自分です。新しいプロジェクトが始まって、「とりあえず情報集めよう」と検索を始めて3時間。競合調査、市場レポート、過去事例、類似サービスの比較表…。
で、気づいたんです。
肝心の「何を作るか」、1ミリも考えてない。

情報収集は「考えること」の代わりにならない
内田和成さんの『アウトプット思考』に、痛いことが書いてあります。
使える時間が100あるとして、90を情報収集に、9を整理に使うと、「考える」時間は1しか残らない。
1。
これ、まさに自分のことでした。
著者はこれを「網羅思考のワナ」と呼んでいます。
「とりあえず関連情報をすべて集めよう」という思考停止。これが質の低いアウトプットを生む元凶だと。
面白いたとえがあります。
競馬で絶対に勝つ方法は、「レースが終わってから勝った馬に賭ける」こと。
不可能ですよね。でも、「情報が完璧に揃ってから決断しよう」と待ち続ける人は、まさにこれをやっています。
情報が揃った頃には、もう機会は通り過ぎている。
「情報3割で決める」という覚悟
帝人の元社長、安居祥策さんの言葉が引用されています。
「経営者は、情報量が3割の段階で決断しなければならない。5割を待っていたら遅い」
3割。
自分にとって、これは衝撃でした。
完璧主義の自分は、いつも8割の情報を求めていた。その結果、決断が遅れ、他の人に先を越される。
じゃあ、どうすればいいのか。
答えはシンプルです。
最初に「何を出すか」を決める。
「ESGのレポートを書く」なら、まず「このレポートで何を伝えたいか」「読み手に何をさせたいか」を決める。それから、必要な情報だけを集める。
順番を逆にすると、全員が同じ情報源(Google検索の上位)を見るから、アウトプットも似たり寄ったりになる。差がつかない。
「20の引き出し」という脳の使い方
この本で一番面白かったのが、「20の引き出し」という発想です。
頭の中に、情報を入れる仮想の引き出しを作る。「リーダーシップ」「イノベーション」「働き方」みたいなテーマごとに。
日常で「これ面白いな」と思った情報があったら、その引き出しにポイッと放り込む。
ポイントは、整理しないこと。
結論も出さない。ただ放り込んで、寝かせる。
すると、ある日突然、別の引き出しの情報と「スパーク」する瞬間がくる。
思い当たること、ありませんか?
良いアイデアって、机に向かって考えてるときじゃなくて、シャワー浴びてるときとか、電車に揺られてるときに「ふっ」と降りてくる。
あの現象の正体。脳が勝手に情報を組み合わせていたんです。
「仕事してる感」の罠
地味に刺さったのが、「仕事」と「作業」の区別です。
- 仕事:目的を達成すること
- 作業:その手段
怖いのは、「作業」をこなしていると、あたかも「仕事をした気」になること。
メール100件返した。会議5個出た。資料10ページ作った。
充実感はある。達成感もある。
でも、それで「目的」は達成されたのか?
「作業の達人」になることと、「仕事の達人」になることは違う。
この一文、週に一度は自分に言い聞かせたい。
読んでから変わったこと
プロジェクトの最初に、5分だけ時間を取るようにしました。
「このプロジェクトのゴールは何か」 「最終的に誰に何を届けるのか」
これを紙に書く。たった5分。
でも、これだけで無駄な情報収集が減りました。「あ、これは今回のゴールに関係ないな」と判断できるようになった。
あと、通勤中にスマホを見る時間を減らしました。
代わりに、電車の中で何人がスマホを見てるか観察する。広告に何が載ってるか見る。
これが意外と面白い。そして、この観察が「引き出し」のネタになる。
こんな人に読んでほしい
- 情報収集に時間をかけすぎて、いつも締め切りギリギリになる人
- 「調べてから考えよう」が口癖の人
- 資料作成は得意だけど、「で、結論は?」と言われがちな人
- 「仕事してる感」だけで満足してしまう自覚がある人
情報が溢れる時代。「何を知っているか」では差がつきません。
差がつくのは、「何を出すか」を最初に決められる人。
情報収集は、考えることの代わりにはならない。
この本を読んで、ブラウザのタブを閉じる勇気が持てました。