話し方の本を何冊読んでも、言葉に力が出ない。
語彙力を増やしても、相手に響かない。
梅田悟司さんの『「言葉にできる」は武器になる。』を読んで、その理由がわかりました。
言葉は、思考の上澄みに過ぎない。
思考が浅いまま言葉だけを磨いても、薄っぺらさは消えないんです。
「内なる言葉」と「外に向かう言葉」
著者は、言葉を2種類に分けています。
「外に向かう言葉」
普段使ってる言葉。会話、メール、プレゼン。
「内なる言葉」
頭の中で考えるときに使ってる言葉。声に出さない。でも確実に存在している。
この「内なる言葉」が、すべての源泉です。
多くの人は「外に向かう言葉」のスキルを磨こうとします。
話し方、プレゼン術、文章力。
でも、土台である「内なる言葉」が貧弱だと、どれだけ表現を飾っても軽いまま。
表面だけ磨いても、根っこが弱ければ倒れる。
「思考の上澄み」という比喩
これがすごくわかりやすかったです。
思考は、水槽の中の水。
言葉は、その水面に浮いてくるもの。
水槽の中身が濁ってたり、浅かったりすると、浮いてくるものも薄い。
逆に、水槽の中身が豊かで深ければ、浮いてくる言葉にも重みが出ます。
言葉だけを成長させることは、できない。
思考を深めることでしか、言葉は力を持たない。
この比喩を知ってから、「言葉の磨き方」に対する考えが変わりました。
「T字型思考法」
著者が提唱している思考法です。3つの問いを繰り返します。
「なぜ?」:考えを深掘りする
「それで?」:考えを前に進める
「本当に?」:考えを客観視する
この3つを繰り返すと、「内なる言葉」の解像度が上がります。
「悲しい」で終わってた感情が、「悔しさ」「寂しさ」「申し訳なさ」に分解される。
自分も試してみましたが、正直、けっこう疲れます。
でも効果はある。言葉の輪郭がはっきりしてきます。
「人が動きたくなる」言葉
これが一番刺さったところです。
人を説得しよう、動かそうとすればするほど、相手は心を閉ざす。
著者はサン=テグジュペリの言葉を引用しています。
「船を造りたいのなら、男どもを森に集めたり、仕事を割り振って命令したりする必要はない。代わりに、広大で無限な海の存在を説けばいい」
製品のスペックを語るんじゃない。
その製品がもたらす素晴らしい未来を語る。
命令や説得じゃなく、相手の心をワクワクさせる。
すると、人は自発的に「動きたくなる」。
これ、営業でもマネジメントでも同じですよね。
「やれ」って言われると、やりたくなくなる。
「こうなったら面白くない?」って言われると、やりたくなる。
読んでから変わったこと
「なぜ?」を意識するようになりました。
自分の考えに対して、「なぜそう思うのか?」を繰り返す。
すると、言葉に具体性が出てきました。
「思考の上澄み」という言葉がずっと頭に残っています。
話し方の本を読んでも響かなかった理由が、やっとわかりました。
表面を磨いてたんですよね。根っこを深くしないと意味がなかった。
こんな人に読んでほしい
- 「自分の言葉に力がない」と感じてる人
- 話し方の本を読んでも効果がなかった人
- 言葉の「表面」じゃなく「根っこ」を鍛えたい人
- 「伝わらない」のが口下手のせいだと思ってる人
言葉を磨きたいなら、言葉を磨くな。
思考を深めろ。
言葉は、思考の上澄みに過ぎない。
この本、「言葉」の本じゃなくて「思考」の本です。